人工の川沿いの遊歩道を歩いている。
その川は海へ繋がっていた。濁った緑色の海面に、5頭ほどのイルカの背びれが見える。
この海には10m以上ある巨大なタコが棲み着いており、時折地上まで触手を伸ばしては通行人をヘドロの海へ引きずり込む。
イルカたちは、タコの餌にするための人間をおびき寄せているのだ。
私の真横にいた中年男性が「イルカなんているのか」等と独り言を言いながら海面へ近付く。
私は男性にタコの事を忠告すべきか迷っていた。人が引きずり込まれる瞬間が見てみたいというなんとも不謹慎な好奇心に駆られる。