家の近所のコンビニにいる。
初めて見るチョコアイスがあったのでカゴに入れた。カゴの中には既にチーズ鱈と冷凍つけ麺と、小さなタルのような小物入れが入っている。
会計をしようとレジへ向かうが、店員の姿が無かった。
誰かが来るまで待とうかと考えたが、どうやらこのコンビニ自体に人がいないようだ。
私は諦めてカゴの中身を全て棚へ戻し、コンビニの外へ出た。
コンビニの外は真夏だった。空が異様なまでに鮮明な青色をしている。
横断歩道が日光を反射し、ひどく眩しい。その中腹に黒っぽい塊があるのが目立つ。
近づいて見ると、それは様々な種類の蜻蛉の死骸の塊だった。
おそらく数十匹の蜻蛉が消しゴムのかすのように纏められている。車に何度も轢かれたらしく、原型を留めておらずめちゃくちゃだ。
私は、この蜻蛉たちは秋を連れてくる筈だったんだな、と考えた。
夏を終わらせたくない誰かが、秋を連れて来るはずの蜻蛉を全て捕まえて殺してしまったのだ。
よって秋は来ない。