父親に似た人物と、知らない小さな男の子と一緒に、寂れた線路の
この線路は終点の先にあるため電車が来ず、人の立ち入りが許可さ
父親に似た人物は、体型や髪などは父親のものだったが、顔はエン
雰囲気は母方の祖父に似ていた。手を後ろで組んでゆっくりと歩き
そのせいか、夢の中の私はその人物が見知らぬ人だと分かってはい
小さな男の子はほとんど話さず、父親に似た人物のベルトを後ろか
この子を差し置いて私ばかり庇護対象ぶっている事を恥ずかしく感
私達は広いトンネルに入った。
向こうから異様に赤錆びた電車が走って来るのが見える。
私と男の子はただ壁に寄ったが、父親に似た人物は突然、そこにあ
電車が通り過ぎていく。
電車らしい車両は最初の一両だけで、あとは焼け落ちた骨組みのよ
何の音もしない。
電車が遠ざかると父親に似た人物は、いやいや〜等とにこやかに言
「敵襲?」と冗談のつもりで言うと、父親に似た人物は「「テキシ
それから、うわごとのように「空襲、災害、テキシュウ、土砂崩れ
「どういう意味?」と聞いたが、「若い子は知らないんだねえ」と
父親に似た人物は話しながら、いたずらに足で地面を均している。
私も何とは無しに地面を見る。
そして、もうとっくに線路は途切れていたという事に気付いた。それに、
父親に似た人物にその違和感について伝えようか迷ったが、彼はま
私はまた気付かぬふりをした。
見上げると壁や天井一面に、原色のペンキで目のたくさんついた怪
そこは狭いトンネルに変わっていた。
夢の中の私はこの場所に来たことがあるようだ。
「あ、ここ好きなんだよねー」等と言いながらトンネル内をスマー
父親に似た人物は「そうなの」と和やかに頷きながら、トンネルの
その隣にいた男の子が、おもむろにこちらを指さした。
振り返ると、私の背後はトンネルではなく古い鉄の階段の裏側にな
それをすり抜けて、若い男性とその娘と息子らしき一家が楽しげに
避ける間も無く、一家は私をもすり抜けていく。