夢日記

自分用

077

ロシア民謡カリンカという曲の和訳として白い背景に無機質な文字で文章が表示されていたが、その内容は先輩メイドが犯した殺人の罪を新人のメイドに着せようとするという、実際のカリンカの歌詞とは全く関係のないものだった。
詳細には覚えていないが「ご主人様に見つかったらどうしましょう」「動かなくなると思わなかったもの」「新入りのメイドが欲しいわ」「そして素敵な物をあげるの、プレゼントよって」というような文章だった。

閑静で高級そうな住宅街に、先程の文章に出てきた「新入りのメイド」らしき少女が現れ、視点は彼女のものになった。
新入りのメイドが着ているメイド服はレースやフリルの無い現実的なものであり、丈が長く外では動きづらそうだ。
さらに新入りのメイドはなぜか子犬の死骸を大事そうに抱えており、それが余計に行き先の選択肢を狭めているようだった。
新入りのメイドはとにかく仕えていた家から離れようと、焦りながらもしずしずと道路を早足で歩いていく。
住宅街の地形は緩やかな坂になっており、時折白いコンクリート急な細い階段があるのが目に付いた。私はそのような階段が好きだが、新入りのメイドは当然そちらには見向きもせず、私は残念に感じた。
全ての建物の電気が消えており、住宅街は黒い半透明なレイヤーを上から重ねたかのように不自然に薄暗い。





夢でよく見る独特な座席のある電車に乗っている。少しずれた世界に行くようだ。
車両の中の座席は大きさがまちまちである。私は扉のすぐ横にあった二人分しか幅のない座席に座って、眠ろうと頭を扉側の手すりに預けた。
しばらくすると近くの座席に誰かが座った気配がした。
薄目を開けて見ると、二つ隣の席、やたらと枝分かれした手すりの向こう側に十年ほど前の父親が座っていた。
私がいる事には気付いている様子がない。少しずれた世界に着いたようだ。


この世界では母親の様子がおかしく、父親が単身赴任中で家におらず私は中卒の無職、弟は大学に行かず実家暮らしでフリーターをして家にお金を入れている、という事になっていた。
現実の我が家よりかなり荒んで暗い印象だ。
私の何もしていなさにもかなり腹が立ったが、弟が稼ぐためにスポーツをやめてしまっている事が何より悲しかった。
私はこの状況を改善する為にこの世界に移動してきたようだ。

リビングは全てのカーテンが閉められている。
食卓に突っ伏して寝ている母親と、ソファーにうつ伏せに寝転んで今更PSvitaで遊んでいる弟が見える。
母親は現実より相当窶れて見る影も無くなっており、髪も伸ばしっぱなしになっていた。
現実の弟は高校から本格的にスポーツを始めて急激にがたいが良くなったが、この世界の弟はスポーツの道へ行かなかったため昔の印象を残したまま成長しており、髪型や服装もスポーティではなかった。
現実で飼っている亀はおらず、猫も一匹もいなかった。

家の中には汚れた食器が散乱していた。私はひとまず黙々とそれらを片付けて洗う。
弟が不思議そうにちらちらと見てくる。
食器を洗う物音に反応して母親が突っ伏したまま異常に大きな声で「触らないで!!!置いといて!!!」と怒鳴る。
突然現実味を感じて怖くなり、私は極力音を立てずに食器を置いた。

母親は「何でちゃんとしないの」「頭を低くしなさいよ」と叫んでいる。
弟は無言で姿勢を低くし、ゲームを続行している。この為にうつ伏せになっていたのか、と妙に納得した。私もひとまず床に伏せる。
最初は訳が分からなかったが、母親が叫ぶのを聞いている内に、母親は「外に電波を出す政府の飛行船が飛んでいるから、カーテンを閉めきって伏せていなければ正気を保てない」と思い込んでいるようだと分かった。

「調べたんだけど、電波を反射できるようになる薬を毎日飲んでれば平気なんだって」「その薬を配ってる施設があって、政府にバレないように病院としてカモフラージュされてるんだけど 貰いに行かない?」などとかなり適当に口から出まかせを言う。
母親は怪しんでいる。私は実例と称して適当な事を話し続ける。
話が段々思い付かなくなってきて困っていると、突然弟が「俺の友達がさぁ」と切り出した。
「電波に毒されてない普通の友達がいるんだけど、そういえばそいつも薬飲んでるって言ってたわ 信じてなかったけどマジなんだ」と言う。
母親はそれで信じたようだ。私よりも弟の発言の方が信憑性があるのだろう。テーブルに伏せたままだが「じゃあ、明日貰いに行こう 〇〇ちゃん(私)も〇〇くん(弟)も電波が心配だよね」と比較的穏やかな声色で言ってきた。

私が返事をする前に弟が「うん、俺も行く」と言う。「人数分もらう為に私もついてくね」と言うと「分かった、二人とも明日お願いね」と母親は言う。