夢日記

自分用

093

父方の祖母が旅行で数日間家を空けるので、その間祖母の飼っているチワワの面倒を見る事になっている。

祖母の家は私の全く知らない場所になっていた。リフォームをしたという事になっていたが、周りの景色ごと変わっている。

 

私は夜中に中二階の部屋で仕事をしている。この部屋の内装はあまり変わっていなかったが、入って右側の壁にだけ変化があった。

複雑で大振りな凹凸とトマソンじみた複数の窓が設置され、バグのような様相を呈している。

その窓の内の一つが開けっ放しになっており、その奥に私のお気に入りのマグカップが置いてあった。

取ろうとすると、誤って窓に触れてしまったらしく窓が閉まりマグカップに手が届かなくなった。

閉まった窓は外から開けないといけない。

 

外に出る為に一階に降りると、祖母の犬が洗面所と廊下の境目に佇んでいるのが見えた。

祖母の犬は規則正しく睡眠を取る。この時間に起きていることはまず無いはずだった。

「起こしちゃった?ごめんね」と声をかけるが反応が無い。祖母の犬は老犬であり、耳がかなり遠くなっているのだ。

見える場所に行ってあげようと洗面所に入り犬と向き合うと、犬には顔と耳が無かった。

偽物であるようだ。

 

本物の犬は寝床にいるのだろうが、念の為に様子を見ておこうと思い寝床のあったはずの一角に向かう。

祖母の家には元々、防寒の為にあらゆる場所にカーテンが吊るされている。しかしリフォーム後、カーテンの数は異様なまでに増えていた。

すぐそこにあるはずの犬の寝床に辿り着けず、大量のカーテンをかき分けながらウロウロと歩き回る。

偽物の犬がカーテンの隙間にいくつも置いてある。

 

 

突然、このままでは犬が消えてしまうと感じ不安になった。

犬に聞こえるよう、有らん限りの大声で犬の名前を呼びながらカーテンを必死にかき分けて進む。

カーテンを一枚開ける度に偽物の犬が現れる。

 

かなりの長距離を進んだと思ったところで、遠くで犬の吠える声が聞こえた。

再度名前を呼ぶと、犬の吠える声は猛然とこちらへ近付いて来た。

声のする方のカーテンを開けると、祖母の犬が弾丸のような勢いで走って来て足元に飛び付いてきた。

顔と耳のある本物の犬だ。とても嬉しそうにじゃれ付いてくる。

私は安堵して「良かった〜!」「偽物しかいなくてどうしようかと思ったよ」等と話しかけながら犬を抱き上げる。

 

 

顔を上げるとそこは大学の廊下になっていた。

高校の頃の同級生が柱の影に直立してこちらを見ている。

彼女とは違う大学に進学したはずだが、ここの在校生という事になっていた。「偽物しかいなくてどうしようかと思ったよ」と繰り返し低く呟いている。

人見知りの犬は在校生を警戒している。

在校生は「仕事よかったじゃん」と言う。途中で大学に通えなくなった私への皮肉かと思ったが、在校生は心底恨めしそうにこちらを見ていた。

気まずさを覚え犬に「帰ろ」と小さく話しかけてバス停の方へ早足で向かう。

在校生は「帰ろ」と繰り返しながら後についてきた。

この在校生もきっと偽物だろう。

私が今抱いている犬だけが本物であり、この世界で唯一信用できる存在だと感じる。