新種の桜が沢山あるという架空の神社に行った。
団体で来たはずだったが、はぐれたのか気が付くと友人と二人きり になっておりラッキーと思った。
参道の脇に、枝葉が広がっておらずトピアリーじみて整然とした木 が一本、展示でもされているかのように植わっていた。
この桜の花びらは食べられるらしいが、境内で勝手に枝葉を折っては罰当 たりかもしれないから木から落ちてくる花びらを待ってキャッチし よう、という事になり、そこでしばらく遊んでいた。
結局その花びらを食べることができたかどうかは忘れてしまった。
ひょうたん型の実がたくさんなったクリスマスツリーのような風貌
この木もやはり花や果実が全て桃色をしている。
木の前には私の幼なじみがおり、ひょうたんのへこんでいる部分を 指で軽くなぞってみると指先が甘い匂いになるよ、 と教えてくれた。
やってみると確かに、すあまかなにかのような優しくほんのりとし た甘い匂いがする。
私は幼馴染と盛り上がっていたが、先程から一緒にいた友人は終始 微妙な顔をしており、ノリをこちらに合わせてくれているように見 えた。
幼馴染と別れてその木から離れたところ、友人は「なんかさ、どんだけ頑張っても猫のトイレの匂いにしか思えなかったんだよな」