夢日記

自分用

137

ガラス越しに小規模な植物庭園のような一角を見ている。規模としては花壇に近い。

花壇の向こう側には薄汚れたアパートや、廃屋じみた様相を呈する背の低い雑居ビルが見える。

 

花壇の植物は全てがつぼみの状態だった。

「ここにある芽を摘む事は至極簡単です」とドキュメンタリー番組のナレーションのような声がする。

隣にいる何かの気配が話しているようだが、夢の中の私は一瞬たりとも花壇から目を離そうとせず、その気配が誰でどのような姿をしているのか最後まで知らなかった。

何かの気配の手がガラスをすり抜け、一番端の方に植っている水仙の未発達なつぼみの根元を指先で摘むのが視界に入る。何かの気配の手は真っ白で石膏のような非生物的な質感をしていた。

何かの気配はそのつぼみを容易く折り、地面に落とした。

なんて事をするんだ、と私は心の中で憤った。

すると何かの気配はそれを察したかのように「まあ見ていなさい」と悠長な態度で言った。

 

花壇は加速し始めた。

早送りで花が咲く様子を見せてくれるようだ。

「人も植物も、生命を後の世代へ繋げる事を根源的な本能、喜びとしていますね」

何かの気配が話している間に、つぼみを落とされた水仙は異様な発達を見せていく。

茎が膨れ上がって帯化したサボテンのようになり、その直後ぐんぐんと上へ背を伸ばし始めた。

最終的には人の身長よりも遥か高く、およそ3mほどにまで成長した。

やがてランドセル程の大きさはありそうなつぼみができ、それが開くと直径1m程の大きな白いハスの花になった。

 

ハスの花は完全にこちらを向いて咲いていた。加速した花壇の中でも花はしばらく咲き続け、こちらを覗き込んでいるかのように常にフラフラと動いていた。

 

見渡すと周りの植物も一斉に咲いていた。その全てが白い花をつけている。

タンポポに似た綿毛が大量にできており、ハスの花が枯れ始めた途端それらが一斉に空へと舞い上がった。


「加速された種子はやがて町や人を滅ぼすでしょうが、恐れる事はありません。安心なさい」と何かの気配が言う。「あの全てに次世代の生命が託されていますよ」

とにかく明るい安村みたいだな、と思ってから、この下らない思考が何かの気配に察されていたら恥ずかしいなと感じ、慌てて違う事を考えようとする。

枯れたハスの花はしおれきって地面に横たわった。しかし尚もこちらを見ている。

花壇の奥に見えていたアパートや雑居ビルに綿毛が粘菌のようにこびりついていく。

136

食べる事が好きすぎて過食しては嘔吐する、という行為を頻繁に繰り返す肥満体の女性を可愛らしくコミカルに描いた、奇妙な趣向の漫画を見ている。

その漫画は一つのエピソードにつき二〜八コマ程度で構成されたものだった。


その肥満体の女性は心身に問題を抱えているため、彼氏と見られる男性が保護者のような立場で彼女の世話をしていた。

しかし彼が家を空けている間に、女性は毎回のように家にある食材を食べ尽くしては嘔吐してしまう。

彼女は幼児退行を起こしており、なぜ自分がいつも嘔吐してしまうのかを理解できていない様子である。

また、彼女は作中で言葉を発することは一度も無かった。


エピソードの内の一つに、彼氏によって「何か食べたくなったら水を飲んで我慢するんだよ」と釘を刺される、というものがあった。

すると女性はその言いつけを忠実に守るものの蛇口からコップに延々と水を注いでは飲み続け、結果やはり嘔吐していた。

その後彼女はお気に入りの土鍋に水を汲んできて、そこからとても小さなミルクピッチャーで水を掬って飲む事に留めようと決めた。

そうする事で水の飲み過ぎを自主的に防ごうとしたようだ。

しかし最終的には土鍋の中の水を全て飲み干し、土鍋の中に嘔吐していた。


そのエピソードのコメント欄には、読者からの「吐く直前に鍋の中に食べ物山ほど投げ入れてあげたい」という珍妙な感想が綴ってあった。

135

ごっこのようで少し違うゲームに参加させられている。動かずにいられた時間を競うらしい。

鬼はピエロたちだ。屋根の上をホバー移動する風船でできたものや、氷上を滑る小動物のような姿をしたものなど種類が豊富である。

捕まると死亡扱いとなり、直前のリスポーン地点に戻される。

 

プレイヤー同士も倒し合わなければならないらしい。攻撃を3回当てれば相手を倒すことができた。

ピエロに見つからない隠れスポットなどはプレイヤー同士で取り合いになっており、あまり長時間籠ることはできなかった。

 


プレイヤーにはそれぞれ能力が与えられており、私には大ジャンプの能力があった。

しかし短い制限時間内に着地しなければ死亡扱いとなってしまうため非常に使いづらい。

 

私は早くこのゲームをやめたかったので大ジャンプを使ってゲームエリアの外に逃げ出した。

それにより私は指名手配?をされてしまった。




不思議な道路を走っている。トンネルが多く頭上に高架や橋が大量に架かっている。

私はここで人に見つからずに隠れられる場所を探しているようだ。

道路沿いに、二つの橋と一つのトンネルの入り口になっている入り組んだ地点があり、私はそこの隙間に入り込んで体育座りになって寝たふりをした。

道行く人々はほとんど私がいる事に気付かずに通り過ぎてくれるものの、数人に一人ほどはこちらに気付いた様子を見せる人がいた。

 

通報を受けたのか警備員の格好をした初老の男性アイドルがやってきて、どこかに電話をかけ始めた。

「今日は9人、爺さんが西に3人南に2人。婆さんが東西南に1人ずつ。それから俺は今北にいるんだけど、ここに1人いてこいつは大物だぞ」

私はなんとなく、アイドルはホームレスについて話しているのだろうと思った。

アイドルは私の事をホームレス扱いし、加えて指名手配をされているためわざと聞こえるように大物と呼んでおちょくっているようだ

私はアイドルの電話が終わる前にその場から逃げ出した。

 

しかし走れど走れどアイドルが電話をする声はすぐ背後から聞こえ続けた。

振り返る暇が無いので確認できないがどうやら何かの乗り物に乗っているらしい。電話が終わればすぐにでも追いついて容易に私を捕まえることができるだろう。

 


先程まで道路の周りには海や他の道路しかなかったが、少し進むと道路が突然途切れて崖のようになっており、その先に外国の歴史ある建造物のようなおしゃれな装飾の背の高い建物が乱立しているのが見えた。

私は大ジャンプができる事を思い出し、道路から飛び降りてでたらめに建物の壁や隙間を跳び回った。




アイドルは私を見失ったようだ。

私はアイドルの位置を把握するため建物群の中で最も背の高い建物の屋上に飛び乗った。

すると一つ下の建物の屋上で何かのイベントが開催されているのが見えた。

たくさんの人が集まっており、私が今いる建物にまであぶれた見物客らしき人々がいる。

 

赤と青の二つのチームが出し物で得られた観客の反応の大きさで勝負をしているらしい。

あらかじめ誰がどのような出し物をするかお互いに調査していたようだが、赤チームは当日になって事前情報とは全く違う演者を揃えてきたらしい。

赤チームとしてよく分からない芸人がステージに立ち大きな笑いを取っている。

 

青チームは赤チームの撹乱に焦っている。

次は先ほどのアイドルが所属するグループが青チームとしてパフォーマンスをするらしい。

しかしメンバーのうち一人がこのイベントに参加する事を拒否したため、その人のいるべき場所には素人の代理ダンサーが据えられていた。

隣で観ていたサブカルなファッションをした男性が、周囲に自分の存在をアピールするかのように「ダッセ!ダッセェ!」と大声で何度も連呼しては下品に笑っている。

私は少し離れた場所に移動した。

 


ステージの両隣にグランドピアノのような何かが積んである。

クレーン車が来てそれを少し離れた場所へ積み直そうとしたが、失敗してピアノを別のピアノの上に落下させ二つとも破壊してしまった。

 

クレーン車を操作する人はそれで動揺したのか、他のピアノも全く上手く運ぶ事ができず次々に破壊していく。

やがてやけにでもなったのか、ピアノのうちの一つを掴むと突然アイドルグループを他のピアノごと全員壁の方へ薙ぎ払った。

たくさんのピアノとアイドルグループが壁に当たってバラバラになり、がれきの山となった。

観客がどよめく。

 


いつの間にか私の隣に、白いワンピースを着て白い帽子をかぶった、背の高い綺麗な女性がいた。

女性は「近くまで見に行こう」と親しげな様子で声を掛けてきた。

有名人の死体を間近で見たいだなんて、見かけによらず悪趣味なんだなと思った。

その時私は野次馬をする事には興味が無かったが、面と向かって断るには女性は美しく圧がありすぎた。

私は途中までついて行って人混みではぐれたふりをして帰ろうと考えた。




気が付くと私と女性はごく狭いアパートの螺旋状階段の入口にいた

真夏のように日差しが強くなっており非常に眩しく、影になっていない場所はほとんど白飛びしたようになっていてよく見えない。

女性は階段の壁に白いチョーク石で線を描いており、私は数段登ったところからそれを眺めている。

チョーク石はアイドルグループが死んだがれきの山から採ってきたものらしい。おそらく元はピアノの鍵盤だったものだ。

この世界では警備員とピエロたちによって絵や字を描く事が禁じられており、ああいった不慮の事態が起きなければ画材もろくに手に入らないのだと言う。

 

女性は私にチョーク石と場所を譲ってくれた。

場面が変わり、私は線が描かれた壁と向き合っている。拙くてよく分からないが女性は花の絵を描こうとしていたようだ。

私はその続きを描くことにした。

横を見ると女性が階段に渦巻き模様を描いて遊んでいた。

今はみんなアイドルグループの死体を見に行っているため辺りに誰も居ないのだと言う。

女性は人々が戻ってくる前にこの付近を絵と字で埋め尽くすイタズラをしようとしている。

134

全ての人間が猫に見えるようになってしまった。

毛並みや顔付きはそのままその人の健康状態や精神状態を反映している。

人間でいた時よりも、何を考えているのかや具合が悪そうだったり眠そうなどの細かな機敏が分かりやすく感じる。

家族のことも猫に見える。父猫は冷静そうだが母猫は私の精神状態の悪化にひどく不機嫌そうだ。

直接怒鳴ったりもしているようだが、猫に見えるので全く怖くない

物凄い剣幕で怒る猫を見て笑ってしまいそうになるのを必死に堪えていた。

街に出ると発情期の猫が大量にいた。





何かの絵を描いている。

犬のようなものを描こうとしているようだが、毛並みのディティールを独特なタッチで異様なまでに細かく描き込んでいる。

133

本棚から本を取ろうとしたところ手が滑り、どういう訳か左手の人差し指が縦に真っ二つに裂けてしまった。

夥しい量の出血をしている。

せっかくだからとコピー用紙を取り出して血で何か絵を描こうとしたが、流血がひどすぎて全く思うように描けない。

 

怪我をしたと母親に知れたら怒られるだろう。

こんな大怪我をして、病院に通う事になるかもしれない。

友人と出かける予定があるのに、このままでは取り消しになってしまう。

色々な事を考えて面倒に思い、どうにかこの怪我を隠せないかと考える。

部屋に裁縫キットがあった事を思い出しそれを探そうとするが、部屋中に血が飛び散って凄惨な状況となり益々気が滅入る。

徐々に全てがどうでもいいというような投げやりな気分になってくる。

132

曇った公園に、金髪に黒い革ジャンに赤いミニスカートを履いた、マフィアや何かのボスのような女性がいる。

視点の主は私ではなくその付き人のような立場の男性であるらしい

 

女性のお腹が突然膨らみ始めた。

男性が病院に行けと言うが、女性はそんな事をしたら捕まるだろと拒む。

道端で出産が始まってしまった。

 

女性はこれは敵対組織に呪われたのだと言いだす

男性はそんなまさかという反応だが現に、女性はお腹が急速に膨らんでは出産することを三回も繰り返していた。

 

女性は死んでしまうようだ。「痴話喧嘩みたいな死体だから見つかりたくない」などとよく分からない事を言っている。

男性はそれに従い女性の死体を閉鎖された遊歩道のひび割れた穴の中に隠した。

その後視点は男性から離れ、男性が「視聴者」に向かってこの隠し場所がどれだけ良いかについて教えてくれるのを眺めていた。

 

その後男性は「他にも人やってもバレない場所がある」と言い街を歩き始めた。

そこは治安の悪い商店街のような場所で、男性が挙げた場所は建設途中で放棄されたビルの地下、人のいないスーパー銭湯などだった

131

手の平に細い糸のような黒い虫がたくさんついている。

その虫は簡単に千切れては増殖していくようで、切れ端のような1ミリ足らずのものも蠢いている。

長時間手を洗い続けているが虫たちは一向に取れない。

その虫は血を吸って長くなり、皮膚に穴を開けて血管に潜り込んでこようとする。

ひどい激痛を感じる。

 

手首や肘の中まで虫が入り込んできている。

焦って風呂場に行きシャワーで流そうとしたところ、中途半端に流された虫の破片が足にくっついてしまったらしく足元からも虫に侵入され始めた。

もう治療する事もできなそうだ。