037
2019/2/16
蛍石のような不思議な鉱石の採れる、大きな鉱脈にいるようだ。
コンサートホールのような形の大空洞に、大勢の人達が集まっている。1.5mずつほど前後に間隔を空けて規則的に並んで立ち、大空洞の中央に注目している。
大空洞の中央には水晶に取り込まれたような姿の人間がいた。それは演説をしているようだ。
水晶人間が発言に一区切りをつける度、観客たちは大きな拍手を送る。
私には水晶人間の言葉は聞こえない。
ここの鉱石は音に反応して青緑色に光る。観客たちが拍手をすると、大空洞中がふわりと緩やかに光に包まれる。
とても綺麗だ。水晶人間はこれを見るために演説をしているんだ、と思った。
純度の高い鉱石ほど透明感があり、強く光る。私は一欠片だけ持ち帰ろうと思い、大空洞内を歩く。
一欠片と思っていたが、30センチほどはありそうな巨大な塊を見つけてしまった。
少し割れないだろうかと持ち上げようとしたところ、側にいた男が鉱石に気付いてすぐさまその上に座り込んだ。
忙しなく手を振り、片言で「さようなら、さようなら」と連呼する。どうやらこの鉱石が欲しいようだ。
仕方なく私はその鉱石から離れ、もう少し手頃な大きさの鉱石を探す。