夢日記

自分用

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数日前から遠くの空に、ドラム缶のような何かのシルエットが浮いていた。

それは動かない。人々はそれを気にしている様子はなく、私も例に漏れずそうだった。



私は単発バイトか何かを終えて帰っている途中らしい。

私の前で、同じバイト先にいたらしい同年代の男性がスマホを見ながら歩いている。私はその人の歩くスピードの遅さにうんざりし、早足でその人を追い越した。

その道は高速道路の真下でどこか閉塞感のある雰囲気だったが、曲がり角でその光景は突如途切れていた。
その先には澄み切って異様なまでに彩度の高い青空があり、遠くの電波塔とドラム缶のシルエットがよく映えている。



今私の前に人はいない。気兼ねなくその景色の写真を撮る事ができた。

撮影を終えると私は曲がり角を曲がり、すぐそこにあったフェンスに囲まれた奇妙なバス停に並んだ。

とても広い道路が地平線の果てまで続いている。

来た道を振り返ると歩きの遅い人がようやく曲がり角に辿り着き、私と同じように景色の写真を撮っている。

 

バス停に並びながらぼんやりと空のドラム缶のシルエットを眺めていると、それの向きがゆっくりと変わっている事に気付いた。

シルエットはオーソドックスな植木鉢のような形に変わり、少しずつ加速しながら墜落して来ている。高層ビル一棟ほどの大きさはありそうだ。

思わず空を指差して「あれこっち落ちてきてません?ヤバくないですか!?」と歩きの遅い人に話しかけると、彼は怪訝そうに「え?あー」と曖昧な相槌をうって空を見上げる。そしてその状況に気が付くとにわかに私と同様のテンション感になって騒ぎ出した。

植木鉢は私たちの100メートルほど右の方に墜落し、爆発のような轟音を立てて地面や建物を破壊しながら物凄い勢いで遠くへ滑っていった。

 

空に目を戻すと植木鉢型の影が大量に現れていた。あの全てが今から地表に落ちてくるようだ。

私たちの正面300メートルほど先に、ちょうどこの広い道路と同じぐらいの幅の植木鉢が落ちてくるのが見えた。

「逃げて!」と咄嗟に叫んで道の左側にある植え込みの向こう側へ飛び込む。植木鉢はレールの上を走るように道に沿って真っ直ぐにこちらへ向かって来、バス停やフェンスなど全てをなぎ倒しながら通り過ぎて行った。

辺りを見回すと歩きの遅い人は植木鉢に巻き込まれたようで影も形もなくなっていた。「もってかれた」と思いその流れを一瞬面白く感じたが、きっと彼は死んでしまった、面白がるとは不謹慎だと心の中で自分を叱咤する。

 


私は高架下に避難してきていた。

いつの間にか植木鉢は実体がなくなり、先ほどの植木鉢と同程度の横幅を持った突風に変わっていた。

よく分からないが3Dの突風と2Dの突風があるようだ。

3Dの突風は人を彼方へ吹き飛ばすほどの威力があるもののただの風であり、一方2Dの突風はかまいたちのような板状の風?で、人や物を薄切りにしてその場に残す。

2Dの突風で薄切りになった人間の一枚一枚が3Dの突風でバサバサと巻き上げられて飛んでいく。

私はそれをよく観察したいと思い、近くを飛んでいた人間の薄切りの内の一枚をキャッチしたが、手触りが非常に不快だったため「うわっ!」と叫んですぐに手を離した。

現実でも寝言で叫んだらしく目が覚めた。