夢日記

自分用

094

キッチンで何かと戦っている。

何かは私の右手に包丁を押し付けて鋸を引くように動かした。ぞっとして「右手はやめて!」と叫ぶが、よく見ると手に当たっているのは包丁の刃の部分ではなく背の方だ。

何かは安堵する私の横をすり抜けて和室の方へ逃げていった。私は包丁を拾い上げるとそれを追いかける。


和室につくと、私が先程から襲われたり追い回したりしているのは私の飼い猫のうちの一匹らしいと分かった。私はこの猫を殺さなければならない。さもなくば猫は私を殺すだろう。

なぜか家族が全員リビングにおり、食卓やソファに座って各々くつろぎながら会話を交わしている。

時折「うるさい」「逃がさないようにね」「まだやってんの」「頑張れー」等とこちらにも適当に声をかけてくる。

私が殺すか殺されるかの戦いをしているのに誰一人助けてくれない、と少し落胆した。


猫は本棚の上に飛び乗った。私は猫の背中に包丁を振り下ろした。

鈍い音がして包丁は弾かれたものの、どうやら今の一撃で猫の背骨をどうにかできたらしい。

猫は動きが鈍くなった。


猫は逃げようとしている。私は右手を切断されそうになった事への恐怖がまだ収まらず、包丁を逆手持ちのように持ち替えると一心不乱に猫の背中、背骨のすぐ横あたりに突き立て、下へ引いた。

飼い猫はもはや動けず、ただシャーと威嚇をする。


数年ぶりに威嚇された、と悲しくなった。

この猫は元野良の保護猫で、うちに来た頃は威嚇ばかりで触るどころか近づく事すら叶わなかった。

そこから数年間根気強く接して、その結果この猫は私にだけは誰よりも甘えてきたり一緒に寝たり抱っこ等ができるまでに心を許してくれた。


私はその猫を今にも殺そうとしている。

私は突然我に返った。大好きな猫が目の前でボロボロになって弱々しくこちらに威嚇している。

リビングを見ると誰もいなかった。

全て幻覚や幻聴だったのだろうか?頭がおかしい。そもそも、猫が人間を包丁で切りつけてくるはずがない。

考えるごとに私は何て事をしているんだとパニックに陥った。猫に視線を戻す。

私の手が勝手に包丁を振り上げ、再び猫の背中に刃を突き立てていた。


「やだ!!」と叫んで飛び起きた。

093

父方の祖母が旅行で数日間家を空けるので、その間祖母の飼っているチワワの面倒を見る事になっている。

祖母の家は私の全く知らない場所になっていた。リフォームをしたという事になっていたが、周りの景色ごと変わっている。

 

私は夜中に中二階の部屋で仕事をしている。この部屋の内装はあまり変わっていなかったが、入って右側の壁にだけ変化があった。

複雑で大振りな凹凸とトマソンじみた複数の窓が設置され、バグのような様相を呈している。

その窓の内の一つが開けっ放しになっており、その奥に私のお気に入りのマグカップが置いてあった。

取ろうとすると、誤って窓に触れてしまったらしく窓が閉まりマグカップに手が届かなくなった。

閉まった窓は外から開けないといけない。

 

外に出る為に一階に降りると、祖母の犬が洗面所と廊下の境目に佇んでいるのが見えた。

祖母の犬は規則正しく睡眠を取る。この時間に起きていることはまず無いはずだった。

「起こしちゃった?ごめんね」と声をかけるが反応が無い。祖母の犬は老犬であり、耳がかなり遠くなっているのだ。

見える場所に行ってあげようと洗面所に入り犬と向き合うと、犬には顔と耳が無かった。

偽物であるようだ。

 

本物の犬は寝床にいるのだろうが、念の為に様子を見ておこうと思い寝床のあったはずの一角に向かう。

祖母の家には元々、防寒の為にあらゆる場所にカーテンが吊るされている。しかしリフォーム後、カーテンの数は異様なまでに増えていた。

すぐそこにあるはずの犬の寝床に辿り着けず、大量のカーテンをかき分けながらウロウロと歩き回る。

偽物の犬がカーテンの隙間にいくつも置いてある。

 

 

突然、このままでは犬が消えてしまうと感じ不安になった。

犬に聞こえるよう、有らん限りの大声で犬の名前を呼びながらカーテンを必死にかき分けて進む。

カーテンを一枚開ける度に偽物の犬が現れる。

 

かなりの長距離を進んだと思ったところで、遠くで犬の吠える声が聞こえた。

再度名前を呼ぶと、犬の吠える声は猛然とこちらへ近付いて来た。

声のする方のカーテンを開けると、祖母の犬が弾丸のような勢いで走って来て足元に飛び付いてきた。

顔と耳のある本物の犬だ。とても嬉しそうにじゃれ付いてくる。

私は安堵して「良かった〜!」「偽物しかいなくてどうしようかと思ったよ」等と話しかけながら犬を抱き上げる。

 

 

顔を上げるとそこは大学の廊下になっていた。

高校の頃の同級生が柱の影に直立してこちらを見ている。

彼女とは違う大学に進学したはずだが、ここの在校生という事になっていた。「偽物しかいなくてどうしようかと思ったよ」と繰り返し低く呟いている。

人見知りの犬は在校生を警戒している。

在校生は「仕事よかったじゃん」と言う。途中で大学に通えなくなった私への皮肉かと思ったが、在校生は心底恨めしそうにこちらを見ていた。

気まずさを覚え犬に「帰ろ」と小さく話しかけてバス停の方へ早足で向かう。

在校生は「帰ろ」と繰り返しながら後についてきた。

この在校生もきっと偽物だろう。

私が今抱いている犬だけが本物であり、この世界で唯一信用できる存在だと感じる。

092

モノクロの公園のような場所に上空から降り立とうとしている。

園内には全ての枝が不自然に太い作り物のような灰色の枯れ木、流動する黒い影ともやの柱のようなもの、数字が無く針が一本しかない時計などよく分からない背の高い物が乱立している。


地面の土に誰かが木の枝で書いたような文字があるのが目に入った。それは小さく、ここからでは遠すぎて読めない。

着地点を探そうと近くにあった枯れ木に触れると、どこからともなくシルエット姿の子ども達が現れてすぐ側の枝に並んで座った。


子ども達は全身の前面から濡れた髪束のような黒い何かを靡かせ始めた。私は彼らの目の前にいたがその黒いものには触れられなかった。霧のようなものであると感じた。

彼らは会話をしているが、それも聞き取れそうで聞き取れない。

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ドット絵で描かれたキャラクターが、正面を向いて座ったスプライトで、我が家のリビングの天井付近で等速直線運動的な動きをしながら四方八方へ飛び回っている。

キャラクターはどの角度から見ても常に正面向きだ。(大神の木のグラフィックのような感じ)

視界の右下に、配信画面に表示されるコメントのような形で「現実」「現実。」「現実!」等と白い文字が浮かび上がっては上へスクロールされていく。

091

私は薄型のメーヴェのような簡易的なグライダーに似たものを装備している。

羽ばたくタイプのもので、前に飛ぶには勢いが必要だったり滑空以外は中々難しかったりと使い勝手は悪かったが、それでも町中を飛ぶ事ができるのはやはり楽しかった。


私は練習を重ねて比較的高度のある場所まで飛んで行けるようになった。

偶々着地した建物が少し変わった構造をしており、ビルの15階ほどの高さのフロアの一角が植物庭園のようになっていた。庭園と室内はガラスで仕切られており、室内から庭園を見ると動物園の展示のような感じに見えた。


庭園側に蛇が展示されていたはずだったのだが、なぜか室内の方にいた。

周りの客が逃げ惑う中、そのフロアに着地したばかりの私はその状況に気付いていなかった。

赤と緑のつやつやした苺のような小さな物体が廊下の隅に落ちている。

近付いてみるとそれが蛇だった。とぐろを巻いていたようだ。

蛇はこちらに向かって猛然と這い寄ってきた。

咄嗟にジャンプして避けようとしたところ、現実で実際に足を縮めたらしく勢い良く目が覚めた。

一緒に寝ていた猫が驚いて逃げて行った…



私はもう少しグライダーで遊びたかったのでそのまま二度寝をした

私は今度は見知らぬ寂れた町に居た。グライダーは装備したままだ

町中を低く滑空しながら見て回る。かなり治安が悪そうだ。

鉄コン筋クリート」の宝町から住人が四分の三ほど減って十年近く経過したような雰囲気だ。


吹き抜けのある大きな建物を見つけた。

私はSkyというゲームの飛行テクニックである垂直飛行という真上に飛び立つ技を身に付けていたため、吹き抜けを通って最上階へ行くことができた。


最上階は滅びた九份のような雰囲気の内装をしており非常に素敵な場所だった。

しかしどうやら違法風俗店が多数立ち並ぶ不穏なフロアである。作り物の観葉植物の鉢植えの中に注射器が捨てられているのが見えた

内装が好みだった為しばらくこそこそと歩き回って観光していたが、突然背後から声を掛けられた。

振り返ると以前かなりしつこく付いてきたおかしなスカウトマンがいた。


「来てくれたんですか」と言うので勘違いされてはまずいと思い、咄嗟に吹き抜けへ走り込んで下へ飛び降りる。

建物の外へ出て再び垂直飛行をし、色褪せたアドバルーンのような物の上に着地して下の様子を見る。

スカウトマンが電話をしながら建物から出てきて、辺りを見回している。

本来立ち入ってはいけないフロアだったらしい。

090

小学校の理科室にいる。

理科の実験で顕微鏡を使うようだ。レンズを覗くと、大量の微生物が動いているのが良く見えた。

興味本位でプレパラートを指で上から押し込み、それから再度レンズを覗くと、何もかもが動かなくなっていた。


私はそれで目が覚めた。くだらない記憶だが実際にあった事で、ちょっとしたトラウマのようになっている。

目が覚めたと思い込んでいたがそこはまだ夢の中だった。私はそれに気付かないまま、洗顔やスキンケアを普通に済ませて仕事に取り掛かる。


ふとお茶を取りに行こうとリビングに出ると、母親が電話の前で座り込んで項垂れていた。

横を通ろうとすると「死んじゃったんだって」と低い声で呟く。

私はいつの間にか小学生になっていた。

しかし中身は現在の私のままだ。そして私はこの光景に覚えがあった。父方の祖父が死んだ時の母親の様子だ。

「死んじゃったんだって」と再び繰り返す母親に「おじいちゃんでしょ?」と聞く。


突然誰かに背後から後頭部を殴られた。

なぜか関係の無い左腕と右足の太腿の大きな傷跡が開いて流血している。

私は現在の年齢に戻っており、母親の姿は消えていた。

私は足を引きずりながら台所へ向かい、コップにお茶を注ぐ。「死んじゃったんだってえ」とふざけた調子で何度も母親の声真似をする。


キッチンの小さなテレビの電源がついている。

津波の映像が放送されていた。

この津波はもうじき私の居住区に到達する。

家族は避難を済ませたようだ。

私は突然気分が高揚し、コップを壁に投げ付けて包丁を手に取った。流血を面白がり、床にわざと血の痕を残しながら自室へ戻る。

ここが現実であると確信しており、それを嬉しく思っていた。

もしここが夢であれば目覚めた後にこの包丁で自分を刺そうと思っていたが、いざ目が覚めると手元に包丁はなかった。

当たり前である。

089

外市民プールのプールサイドの日陰に、冬服で立ち尽くしている

異様に青く彩度の高い空が眩しい。

プールサイドを囲むフェンスの外側には、5メートルほどはありそうな巨大な毛虫のような物が乱立していた。

毛の一本一本がてんでばらばらに蠢いている。私はそれを見た事のない木だと思った。


プールの中には大量の人達がいるが、その全員が冬の装いをしており、最初の私と同じようにただ呆然と立ち尽くしている。

この場で動けるのは私だけだと断定した。夢の中の私にとっては特に違和感が無かった。

プールの水に手を入れるとホログラムのように透ける。


浮き輪を着けた赤ちゃんがいるのが見えた。

私はプールの中に入り、その赤ちゃんの元へ向かうと、浮き輪の上下をひっくり返した。

水中の赤ちゃんはやはり何の反応も示さないが、口元から小さな泡が絶え間なく溢れている。

周囲を見渡すと浮き輪を着けた似たような赤ちゃんが大量に出現していた。

私は作業的にその全てを逆さまにする。


プールの底に私の猫たちが横たわっているのが見える。一目で既に死んでいる事が分かる。

私はなぜか、私にとって大切なものを全てこのプールで溺死させなければならないという強迫観念のような思考にとらわれていた。

目の前に親戚のような人間が居る気がする。私はそれをよく見ないようにしながら水の中に押し込んだ。相手は無抵抗だ。

周囲に居た人々は皆、私の良く知る人物にすり替わっていた。私はその事に気付いていたが、何も知らないと自己暗示をかけてその人々を全てプールの中に沈めていく。

誰かに声を掛けられたら我に返ってしまうと危惧していたが、誰も何一つとして言葉を発さない。

私は段々と気が楽になっていった。


全員を水中へ沈め終わり、私はプールサイドに上がった。青空が眩しいので最初にいた日陰に戻る。

フェンスの外側を見ると、毛虫の木々は枝分かれしてよりグロテスクな様子になっていた。

私はプールの方を向いて座り込んだ。プールの中には誰もいない。

私はここで死ぬつもりだ。

088

私は友人と共に、作りかけの閉塞的な道路のような場所で清掃の仕事をさせられている。強制労働且つ無賃金であるようだ。

私達は車輪と蓋の付いた大きなコンテナのようなものを二人がかりで運び、その中にゴミを入れる。

コンテナの中は泥で満たされており、その中に大量に生息する特殊な微生物がゴミを高速で分解してくれる仕組みらしい。


私達はそのコンテナを用いて人を殺していた

この夢が始まった時点で既に、私達は誰かをコンテナの中に沈めた後だった。

それが誰か、どんな人物だったのかも分からない。泥に塗れた太った指先と、紺色のダウンジャケットを着た大きな背中だけが辛うじて見えた。

私達はコンテナの蓋を閉め、「おーしまい」とふざけ合いながらハイタッチをする。


私達は常習犯であるようだ。

この泥にいったい何人の人間が混ざっているのかを考えると気色が悪かったが、友人とそのような会話をしてヤバいヤバいと盛り上がるのが楽しかった。

仕事終わりに人間をこのコンテナに入れていく事が、この強制労働の中で私達の薄暗い楽しみになっていた。